つくば市自治基本条例「筑波地区で話そう会」
《概要記録》
平成23年5月29日(日)13: 30∼15: 30
市民ホールつくばね 2階 会議室
◆ テーマ:身近な地域から“ 自治” について考えよう
:自治基本条例って何だろう?
1.はじめに
○ 開会
○ 市長あいさつ
市長:今日は足元の悪い中、「筑波地区で話そう会」にお集まりいただきありがとうございます。
・先週も「茎崎地区で話そう会」で話し合いの様子を拝見したり、班の中で話をうかがっ
たりした。率直に感想を言えば、色々な話が出ていたが、自治基本条例というものに多
くの方は認識がなかった。全国で200くらいの自治体がこの条例をつくっているが、
どういう必要性があり、どういうものかという統一した見解は私の知りうる限りはない。
・しかし、今、私達を取り巻く社会では、少子高齢化や環境など、今まで自治体で意識さ
れなかったことが、社会の変化の中で必要性・重要性が問われてきている。これらをす
ぐに自治体で解決するのは難しい側面もあるが、地域の皆さんが自ら問題を認識し、考
えていく。自治体と一緒になって課題の解決に取り組むことが求められていると思う。
・自治体が一つの組織として運営を行い、選挙という形で市長、議員を選出しているので、
無秩序にみんなが言いたいことを言って運営することはできない。何らかの方向性や規
則などを構築し、社会の変化に対応できるような自治体運営を考えていかなければいけ
ない。また、自治体とはどういうものなのか、という根本的なところも考えていく必要
もあると思う。
・地域における自治体運営は、住民のために行うものだが、当然、それに伴って責任とい
うものも出てくる。色々な規則の中で運営を行っている。今進めている市民協働も、本
当の協働のあり方を住民一人ひとりが考えていかなければいけない。今まで、偏った市
民協働という考え方が強いようにも思うが、意見を言いながらともに参加し、まちづく
りのために共に汗を流し、責任も持つことも、今後は加味していかなければいけないと
思う。
・自治基本条例には色々な面があると思うが、一つの規範、考え方、国でいえば憲法のよ
うなもので、細かく規定したり処罰したりするものではなく、みんなで考えてつくり上
げていく方向性のようなものだと思う。
・条例をつくるのは最終的な目的だが、その過程で、一人ひとりの住民など、みんなが色
んな問題について考えることが大事なのだと思う。
・先日の茎崎地区では7テーブル、40人くらいだったが、2万何千人の地区全体からみ
たらほんの一部で、みんなの声ということにはならない。今後は意識を地域全体に少し
でも広げていきながら、皆さんが考え、自覚を持つきっかけになればと思う。
・今後も、このような活動を通して、地域住民みんなで、つくば市をつくり上げていこう、
○ つくば市の自治基本条例づくりと今回の「筑波地区で話そう会」について
今井:(パワーポイント、資料を用いて条例づくりの概要と今回の進め方について説明)
2.グループで話そう
(1)身近な地域から“ 自治” について考えよう ∼日頃の活動や震災の経験から
○ 話題提供
今井:これからの話し合いのヒントになりそうな話を市民WT委員さんにお願いしたい。①日
頃、地域にどんな関わりをしていますか?②震災を経験して、身近な地域について何か
思ったことはありますか?
市民WT委員:筑波地区に住んでいる。諸先輩方の中で少し緊張している。
・日頃の地域の関わりは、仕事で農業をしながら、ボランティアで青年会議所など、様々
な活動をしている。ツールドつくばという自転車競技のイベントなどを地元の方と一緒
に行っている。
・震災を経験してということでは、ライフラインの水が止まり、非常に大変だった。そう
いう中で、よく思ったのは、地元にいるから分かることかもしれないが、「誰さんの家に
は井戸水がある」とか「誰さんは発動機」など、このへんには井戸水を使っている地域
があり、足りないぶんを分けてもらって大変助かった。
・「隣の家の塀が倒れてうちから出られない」といった話があれば、工務店が来てがれきを
運んでくれたり、日頃の地域との関わり方、コミュニケーションが非常に大切だと思っ
た。色んな団体、グループ、NPOなどのネットワークを通して情報がない中、色々な
形で助け合えたのは非常によかったと思う。
・また、震災当日は電話が通じなくて困ったが、メールとツイッターがパソコン上では普
通につながって、地元のサッカークラブの父兄やPTA同士での情報共有がけっこうで
きていた。
・筑波地区というのは、昔から住んでいる人が多く、顔が見えて、「あの人はどんな人」と
いうのが分かっている。そういうことが非常に大切だと今回の震災で感じた。
○ グループで話し合い
(かんたんな自己紹介をして、約30分間、グループで話し合い)
(2)自治基本条例って何だろう? ∼つくば市全体にも目を向けながら
○ 話題提供
今井:(市民WTのこれまでの主な検討成果について紹介… 仮の骨組み、頭と背骨)
・次の話し合いのテーマに関する話題提供として、これまで市民WTで話し合ってきたこ
とや、「自治基本条例とは、こういうものではないか」ということについて、市民WT委
員さんのお話を聞いてみたい。
市民WT委員:最初は、自治基本条例に大学生の意見が通るのかなと思ったが、つくば市民と
しては、なければならないもので、市民なら市民、行政なら行政という別々の活動でな
・市民はこうして欲しいということを、行政や議会に出したりするのは難しい面もあるが、
つくば市を良くしていくためにこうして欲しい、ということを、小さな声であっても出
していって改善につながれば、自分も一市民として認められたのだなと思える。
・この条例をつくるにあたり、「これを言っても絶対通らない」と考えるのでなく、そうい
う一つひとつのことを吸い上げて、みんなに認められる条例をつくっていくことが大切
なのだと思う。
(今までの市民WTの話し合いで出されたキーワードで一番心に残るもの)
・私のまわりでは、けっこう外国人との交流もある。外国人にとって自分達は市民でない
という感覚が多くあって、悩みもあるだろうが、何か言ってもどうせ実現しないのだろ
うという感じもある。やはり多様性を認めたり、輪を広げていくことを大切にすれば、
外国人だけでなく、転勤族の人なども、自分がつくば市民だという自覚を持てると思う。
多様性、輪を広げるというのは、つくば市ならではの条例の一番大切なキーワードだと
思う。
○ グループで話し合い
(約30分間、グループで話し合い)
3.全体でグループの発表
○ 各グループの発表(発表順)
【2グループ】
・今回の震災で色々なことがあった。水のこと、地域のつながりのこと、市からの連絡が
みんなにつながることの大事さ。日頃からのコミュニティが大事だという話もあった。
水を分けたり。一方、学生はつながりがない。アパート同士つき合いにくかったり。学
生は区会に入っていないが、メールなどでのつながりは活用しているようだ。お互いが
支え合うことが大切で、ネットワークが重要だというのが結論
・つくば市らしい自治基本条例という話では、まず「つくばしらしい」とは何なのか。つ
くば市は、日本でも多くのメンバーがそろっているまちで、ジグソーパズルのようなと
ころ。一人ひとりの多様性を認めなければいけないのが、つくば市だと思う。子どもか
ら老人、新住民・新々住民など、様々な人がいる。科学、ロボット、緑の多さなども。
・そういうつくば市に、どういう条例がいいかという話では、自分が関わっていることが
わかるようにしたい。つくば市民として果たすべき義務と責任を入れたい。自治をみん
なが自分で行うこととわかるような、分かりやすい条例に。市民が果たすべき義務が見
えるようにしたい。例えば、つくばを元気にしよう、生きがいがある、結局、つくばが
好きだということ。住民として、カッコイイ市民になることが求められるのだろう。ま
とめとしては、条例を硬い名前でなく、「つくばの思い条例」とか「自治祈願条例」とか
「つくば大好き条例」といった柔らかい、中身が分かるものにしたい。
○ 市長よりコメント ※ 次の公務で退席のためグループ発表の間でコメント
市長:今日は4つの班に入って話を色々なうかがうことができた。市では、各地で地元の皆さ
こともやっているが、それとは違った感じがある。こういうことを積み重ねていきなが
ら、最終目的である自治基本条例を一つの形にできればと思っている。
・21万人の市民がいるが、たぶん21万人が集まったら21万通りの意見が出るだろう
ということを実感している。これからも地区ごとのご意見等をうかがうためにワークシ
ョップを開催することになっているので、皆さん、あまり型にとらわれなくて結構なの
で色んな意見を出していただければと思う。
【1グループ】
・1グループでは、1つめと2つめのテーマを織り交ぜて話し合った。主に5つの意見が
出た。
①議員さんへの要望として、議員と市民の親密な関係をつくっていきたい。主に請願など
について。議員は市民から選ばれているのに、外に出向いて地域の話を聞くことが少な
い人もいるという。議員の役割として、地域に出向いて一人ひとりの声を積極的に吸い
上げるということをお願いしたい。
②市職員に対しては、住民・職員の信頼関係を強くしていきたい。協働社会を目指し、市
民のために働く、市民のところへ出向いて生の声を吸い上げていくことが大切。実例と
して、地元住民と相談して道路の拡幅が決まったという話があった。市民と活動しやす
い環境づくりの大切さ、コンサルタントを多用しないで欲しいという願いも出た。
③市民から市民への要望としては、区会の活動を活発にする。学園都市ではアパート、マ
ンション住民が多く、区会に参加しないことが問題なので、できるだけ区会に参加して
もらうにはどうしたらいいかという話もした。市民として何ができるか、やってもらう
のではなく、自分からやるんだという気持ちが大切。今回の震災を通しての市民同士の
協力の大切さ、選挙などに関心を高める大切さを、市民同士で伝えることも大事。
④地域としては、地域のつながりの中で、若い人が積極的に参加できる場をつくることが
重要という話が出た。筑波地区では若い人がいても、お祭りへの参加が少ないので、地
域の伝統を受けつぐことの大切さ。学園だからということで、つくば市に戻ってくる人
も多いらしいので、コミュニティ形成が大切。震災後に若い人が実家に戻っているとい
うのもあるらしい。震災で地域のつながりの再認識されたという意見もあった。
⑤全体としては、情報の共有が重要ということ。
【3グループ】
・筑波地区の特徴についての話が中心だった。筑波地区は高齢者が多いことが一番の問題
点である。また、多様な市をどのようにまとめていくかという意味では、地域の多様性
を活かすような条例になったらという話でまとまった。
・環境については、農業の後継者が少ないが、環境を守っていくための例として棚田再生
事業の話があり、他地域との交流を通して、農業による環境保全に役立てばという話に
なった。
・「つながり」については、大きな市のまとまりをつくるためにも、交流を増やしていく。
今日のような集まりや、都市部と農村部との交流会などを通して、お互いの意見をすり
・情報がまんべんなく行き渡るようなつくば市にして欲しいという意見もあった。
【4グループ】
・今回の震災では、筑波地区では、あまりにも情報が遅く、不足していたという意見が多
かった。区会の機能として、70∼80%までは情報が行き渡るが、残り20∼30%
には情報がいっていない。ライフラインについては給水車について情報がまわった時に
はすでに給水が終わっていたりということもあった。偏った行政になっているという意
見もあった。
・今後、筑波地区をどうしたらよいかということのヒントが欲しいという率直な意見があ
った。個人的には、筑波地区の環境のいいところをいかに活用するかということだと思
っている。農業で雇用を促進したり。そういったことにもつながる条例になって欲しい。
今井:それぞれのグループに様々なメンバーがおられて、一人ひとりの経験や考え方などがた
くさん出てきて良かったと思う。今後は、今日の各班での意見も大切にしながら、市民
ワーキングチームを中心に骨子案をまとめていくことになる。
4.おわりに
○ 事務連絡など
事務局:今日は活発な話し合いができたことに感謝します。